「ええ、そうですよ。初めて会った日に何かあったんじゃないですかね?聞いた話ですと血だらけだったんでしょう?」
「ああ、だがそれは返り血だって言っていたが。」
「返り血ですよ~。相手の血だよ。」
これは本当。マジだ。それに自分の血も混ざっていただけのこと。だから俺は嘘はついていない。ただ、自分の血のことを言わないだけで。
「だからてめぇに言ってねぇんだよ!」
「返り血って答えたのは俺でしょ~?」
これをきっかけにギャアギャア言い合いを始める俺達を微笑みながら見守る近藤さんに、隊長はまだ余っているおかゆを食べさせてとせがんでいるのを視界の隅で見る。そんな隊長に近藤さんはおかゆを食べさせていた。
「…ねぇ土方さん。」
「あ、なんだ?」
言い合いをしている相手を呼び掛けると返答が帰って来た。
「そんなに警戒しなくていい。…近藤さんを襲うつもりもないからな。」
こんな馬鹿らしい言い合いの中でも警戒をしている土方さん。それは隊長も同じだった。大事な近藤さんの為だろう。
「…っ!そんなの信じられねえな。」
行き成り口調が変わったのに驚いているのかわからないが一瞬驚愕が表情に出ていた。だがすぐに冷静に返してくる。
「………正解だ。これで信じるなんて言われたら馬鹿らしくてしょうがない。」
「…当たり前だろ。優しい近藤さんの分、きっちり疑ってやる。」
やっぱり土方さんは近藤さんが大事なんだ。それは物凄く。フッと笑い顔を伏せる。食事をする為に上半身だけ起こしている状態だからか布団が見えた、少しして顔をあげる。
「え~。少しは信用して下さいよ~。もう、土方さんったら。」
やっぱり突然口調が変わった俺に驚いていたが、また言い合いが始まる。やっぱりからかうのは面白い。
「てめぇは、いい加減にしろ!」
「…え、何をですか?」
「あ~!もう!」
…うん。面白い。