そんな俺を見て、
母さんは、

次は頑張ろうね。
って、頭を撫でてくれた。


やっとの想いで、
兄ちゃんに勝った事がある。

俺は大喜びで、玩具コーナーに行った。

その時選んだのは、
母さんへの、プレゼントだ。


玩具のブレスレット。

これ母さんにプレゼント。


欲しい物は、いっぱいあったが、いつも優しかった母さんに
何かしてあげたかった。


ありがとう。ひでちゃん。


俺を抱き締めてくれた。

母さんは、余程嬉しかったのか、目には涙が浮かんでいた気がする。


その日から、母さんは、何処に行くのも、
付けていてくれた。




正月には、お年玉が貰える。

少しの金額だったが、兄ちゃんと話して、
母さんに全部あげた。

あんた達も欲しい物があるでしょ?
好きな物買いなさい。

母さんは言ってくれたが、俺たちは、


俺達が、大きくなったら、返して貰うから、それまで母さんに預けとく。


って言った。


母さんは、何度も俺達に頭を下げて、


ごめんなさいね。
必ず返すからね。


と、言った。


母さんには、何も良い事が無かった。

あったのかも知れないが、少なくとも、
俺から見た母さんには、なかった。