母さんが、寝ている間待合室で本を読んでいた。


足音が聞え、廊下を見ると、婆ちゃんがいた。


婆ちゃん!


あっ。ひでちゃん。


母さん寝てるよ。


寝とるんかね。


うん。

婆ちゃん。


ん?


少しためらったが、
思い切って、聞いてみた。


母さんの病気なに?


婆ちゃんは、言うのを迷っていた。


胃潰瘍じゃない事ぐらい、俺でも分るよ。


癌なのよ。


俺は、ショックで固った。


癌?


もうダメなん?


わからん。


待合室に戻り、椅子に腰掛けた。

少しは覚悟していたがあまりにも、ショックだった。


ガチャ。

ドアが閉まる音がした。

婆ちゃんが部屋に入ったらしい。


心の整理は、付いていないが、俺も部屋に入った。


婆ちゃんは、ベットの横に座っている。


俺も隣りに座った。


母さんを見ていると、昔の事を思い出した。

俺が小学生の頃、よく母さんは、

お金がない。お金がない。って言ってた。


母さんに、

何でそんなに、お金がないの?
って、聞くと


父さんが、あまり生活費をくれない
だから、お菓子もあまり、買ってあげられない。
ごめんね。辛抱出来る?


うん。出来る!
でも、たまには買ってね。


そぅ言うと、笑顔で、頭を撫でてくれた。


月に一度、母さんは、俺と兄ちゃんを連れて近くの、温泉に連れて行ってくれた。


3人で、手をつなぎ、 歩いていると、
母さんがいきなり


さっ!一番星を見つけて!
最初に見つけて方に
玩具買ってあげる。

わーい!やった!

俺と兄ちゃんは、
一生懸命探した。


大体いつも兄ちゃんが先に見つけた。


温泉に着くと、
兄ちゃんは、すぐ玩具コーナーに行き、
玩具を決めた。


これがいい!

はい、はい。


母さんと兄ちゃんが
レジに行き、玩具を
買っているのを見て
俺は、玩具コーナーの入口で、よく泣いていた。