あぁ。

と、同時に

コラ!

大きな声が後からした。
ヒロシの父親だ。

俺達は逃げようとしたが、すでに手を掴まれていた。

お前ら車に乗れ。

俺達は黙って車に乗った。
まずはヨシオの家に着きヒロシの父親がヨシオの親に話しをしに行った。

ヨシオの親は何度も頭を下げていた。

ヒロシの父親が車に戻って来て、

次はお前ん家だ

と言った。家に着くと母が外に立って待っていた。
車から降りるとヒロシの父親は、いきなり俺の母を怒鳴りつけた。
俺はすぐに部屋に籠った。少しして誰か階段を上がって来た。

ひでちゃん、いい加減にしてよ!次は警察に連れて行くってヒロシ君の父さん言ってたよ!
もう夜出て行ったらいけません!ひでちゃん!聞いてんの!

俺はテレビの音を大きくして、その声を消した。

夜、父親が珍しく早く帰って来たが俺には何も言って来なかった。
母から話を聞いたのかは知らない。

俺は苛々したまま布団に入った。

どれだけ眠ったか、また両親の喧嘩の声で目を覚した。

俺は無視して眠ろうとした。

だが今日は、いつもより激しかった。

声よりも殴る音が。

母の苦しむ声だけ聞えた。

うっ!うっ!