卒業式も終わり、母さんも病院に帰って行った。
俺は家に帰ると、すぐに病院に行く準備をした。

ひでちゃん、卒業式どうだった?
行ってよかったでしょ?

母さんが来てくれてた。

はぁ!?

婆ちゃんは、ビックリした顔で、俺に近寄って来た。

母さんが来てたのかい?

うん。

どうやって?

タクシー。

婆ちゃんは、少し考えてから、

病院抜け出したんかね?

知らん。

ちゃんと病院に居ないと、いつまでも治らないのに!

婆ちゃんは、困った顔をしていた。

大丈夫だよ。
明日から俺が、母さんに付いてる。

ひでちゃんが?

うん。俺が、母さんのそばにいる。

ひでちゃん、ありがたいけど、気持ちだけで良いよ。

なんで?

母さんの看病は、思っているより、大変なんだよ。
ひでちゃんに出来る事は少ないかも。

でも少しは役に立つだろ。
それに、母さんに悪さしてる霊を、追っ払ってやる!

ひでちゃん、母さんは霊なんかの仕業じゃないよ。

もういい!
明日から母さんの所に行くんだ。
もう決めた。
母さんが良くなるまで、帰らないからね。

婆ちゃんは、黙ったまま、台所に行った。