母さんが入院して、 もぅ四か月ぐらい。
母さんが、心配で仕方がない。

そんな俺を見て、ヨシオが、いつも明るく話掛けて来る。


ひで!卒業式どんな格好で行く?
俺は、制服に刺繍入れて、金髪にして行こうと思ってんだ。
ひでは、どぅするんか?
何か決めとるか?


いいゃ。何も考えてないし、どぅでもええ!

そっか。

ひでの、母ちゃん退院したんか?


全然わからん。
何も連絡も無いし。

婆ちゃんは大丈夫って言うだけ。

俺は、ヨシオの方を見ずに、話した。

ヨシオは気を使ったのか、黙って離れて行った。


卒業式当日。

みんな笑顔で教室にいた。

俺は卒業式に来たくなかったが、
婆ちゃんが、

卒業式は出なさい。

って、何度も言うから出て来た。


ヨシオは、話した様に髪は金髪、制服には、刺繍を入れ、一番目立っていた。

俺もだが、ヨシオも、話し掛けて来なかった。


窮屈な卒業式も終わり最後に卒業生と、
父親か、母親が、揃って校門を出るのが、あった。

俺には、勿論どっちもいない。

俺以外の卒業生達は、揃って校門を出ている。
俺は、一番最後に出るつもりだ。