目的のバス停に着くまでの間、シオンはじっと外を見ていた。

朝見た、あの頼りなさ気な顔は、どこにもみられなくて、何故かほっとする。

「次、降りるからな。」

俺はシオンに、一声かけた。

ふと横からの視線を感じる。

乗り合わせた、通学途中の女子高生達が、どうやらシオンに見とれているらしい。

確かに人目を引く容姿だもんなぁ。

そしてあることに気付く。

「シオン、お前学校は?高校さぼって、こっち来てるのか?」

するとシオンは、さらっと答えた。

「僕、飛び級で大学生なんだ。さらに休学中。」

こいつっ!

軽く嫌味な奴だ!

もっとむかつきそうだから、大学の名前は聞くのよそう。

溜め息をつくと、目的のバス停に、停車した。