雨が良いなんて、かわってる奴。

「日本の梅雨は、良いね。優しくゆっくり空から落ちて来る。」

お手上げだ。

俺には理解できないとばかりに、両手を軽くあげる。

シオンはまだ16歳だと言った。

そのくせ、とても落ち着いた雰囲気だ。

俺よりよっぽど大人びて見える。

というか、何か仙人みたいな奴。

結局、俺はシオンの言葉を理解できないまま言った。

「そろそろ行くか。朝飯は途中で何か食おう。」

シオンはにっこりと頷いて、立ち上がった。

「目的地は、ここから30分もかかんないと思うけど。」