何度か電車を乗り換えて、江ノ島電鉄に乗った。

(初めて乗るなぁ。何だ?このレトロさは。単線…?)

江ノ島行きに乗った日傘をもったおばあさんは、電車の窓からじっと海を見ていた。

まだ日が高い。

眩しい海は、やっぱり俺の気持ちをいらいらさせる。

綺麗だとは思うけど、綺麗なら綺麗なだけいらいらする。

(俺って性格悪いなぁ…。)

だいたい今やってることも、レッスン休んでストーカーまがいだ。

どこまでついていこうと考えていると、そのおばあさんが降りたので、慌てて俺も降りた。

潮の香りがする。

おばあさんは駅から出ると、小さな路地に入り、少し歩いて小さな平屋に入って行った。

(ここまでか。で、どうしよう。)

結構遠くまで来た。

路地を少し歩いてみることにした。