「空が、遠いな〜。」

シオンが呟く。

前に、空が遠いと切ないと言った。

「やっぱり、空が遠いと、まだ…悲しいか?」

俺が聞くと、少し驚いて顔をした。

「覚えてたんだ。」

俺はシオンの言葉に頷く。

「今は悲しくないよ。おばあちゃんには、もうおじいちゃんがついてるからね。」

ふふっと笑った。

「そっか。」

短く答えると、蝉の声が耳に響いた。

シオンと出会って、あっと言う間に夏が来た。

「またいつか、お墓参りできるかな…。」

小さな声でシオンが呟く。

「できるさ。」

また短く答えると、またあははと笑った。

「そうだね。うん。また来るよ。」

今度ははっきりとそう言って、俺を見て笑った。

そして次の日、シオンはイギリスに帰って言った。