シオンの両親は、とてもシオンに似ていた。

容姿が、というわけではなく、かれらのまとう空気がそっくりだった。

優しい空気だ。

俺は彼等が泊まっている、ホテルのスイートルームで事情を話して、ひたすら謝った。

「この子の我儘に付き合わせちゃって、ごめんなさいね。」

流暢な日本語で、シオンのお母さんのエレノアさんは言った。

「シオンは昔から頑固でね。困った子だわ。」

うふふと笑う。

ジーンさんも、こんな感じだったのだろうか。

「気にしないでね。シオンも、もう子供じゃないのだもの。それより、この子のお守り、大変だったでしょう?」

問われて、頭を掻く。

「ひさぎ、そこは『そんなことないです』って言うところ!」

シオンが笑いながら言う。

「まあ、この子が何やら企んでるのは分かってたけれど…。」

少し目を伏せて、言った。

「お父様、亡くなられたのね…。」