シオンはもう泣きやんでいた。

手紙を読んでいた俺を見て、そして言った。

「辛い、顔してるね。…僕が、そうさせてる…?」

とてもとても不安な顔を見せる。

「そうじゃない。そうじゃないんだ。ただ…。」

俺は必死で言葉を探す。

「ただ…、切なくて、たまらない。霧野さんに感謝の気持ちでいっぱいなんだ。なのに、もうお礼も言えない。それが辛い。」

「うん。そうだね。」

シオンは静かに頷く。

シオンだって、たくさん霧野さんに伝えたい事があったはずだ。

命を削ってまで、ここまで来たのだから。

シオンの為に何ができるのだろう。

俺は誰かに何かをしてやりたいと、思ったことがなかった。

こんな時に、どうすればよいかなんてことも、情けない事にわからない。

「…悪いな…。俺、気の効いたこと、言えなくて…。」

シオンはきょとんとした顔を見せ、笑った。