「待ってて…くれるんだ。」

ようやく少し微笑む。

「おぅ。友達たからな。」

少しふん反り返って答えると、シオンは涙を拭きながら、あははと笑った。

「手術…うまくいくかな…。」

不安げな顔。

「大丈夫だ。絶対に成功する。」

シオンは、ぷっと吹き出して笑う。

「何、その根拠のない自信。」

俺はまた胸を張った。

「根拠はない。でも俺の直感は外れたことがない。だから心配するな。」

我ながらアホな言い分。

でもそんな言葉に、シオンは嬉しそうに頷いた。

「ありがとう、ひさぎ。」

それと、と言って、また箱からがさがさと手紙を出した。

水色の封筒に『八月 桐儀 様』と書いてあった。

「最初、『はちがつとうぎ』って読むと思ってたから、渡しそびれて…。遅くなってごめんね。」

だから霧野さんのお墓のある寺で、名前を書いた時に、あんなに驚いた顔をしたのか。