「な…っ!どういう…ことなんだ…?」

俺は全く理解が出来ず、シオンを見つめた。

「そんな…だって、家族はいないって…。」

霧野さんは前に独り者だと言った。

ただ、一人、愛した人がいたと…。

「ジーン…さん?」

シオンは少し驚いて言った。

「ジーン・ウェスティン。僕のおばあちゃんだよ。」

まさか…!

こんな偶然があるのか!?

「僕の大好きな…、おばあ…ちゃん…。」

そこまで言うと、シオンの体が、大きく傾いた。

「…っ!シオン!?」

俺は慌てて、イスから落ちる前にその体を受け止めた。

「おい!?シオン!」

荒い吐息だけが聞こえ、返事はない。

藤堂さんは慌てて、電話へかけより、救急車を呼んだ。

ひとまず抱えて、ソファに寝かせる。

シオンは驚くほど軽かった。

救急車が来るまで、俺はシオンの名前を呼び続けた。