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賃貸マンションの一室に2人、親という立場になった男女が、眠る我が子を見つめながら幸せそうに目を細めていた。


「そう。そんなこともあったわね。」
「覚えているか?あの時、初めてお前が俺に嘘をついて、初めて俺の前で泣いたんだ。」
「…初めてだったわ。誰かの為に嘘をつくのも、誰かの為に泣くのも。」
「お前は馬鹿だったからな。」


産まれたばかりの子供の小さな小さな手に触れ、男・淳は微笑んだ。

そんな2人を見て、幸せを感じている女・みどりはこの頃口数も増え、表情も以前より豊かになっていた。


みどりの左手薬指には、4回目の結婚記念日に淳が贈った指輪が光り、淳の左手薬指には、5回目の結婚記念日にみどりが贈った、小さな黒水晶が美しい指輪が光っていた。


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今は懐かしい涙の跡。

今は懐かしい愛の嘘。

今でも想う、世界で1番愛しい人。

今でも想う、あなたとの幸せ。



きっとこれからも想う、
あなたの、、あなたへの、
愛。