「…私、今、どんな顔?」
指輪を見つめたまま、みどりは淳に訊いた。
「涙を流してる。」
淳は見たままを答えた。
みどりは視線を指輪から淳に向け、そのまま見つめた。
「私、今、とてつもなく、後悔…してるの。でも、とてつもなく、嬉しい。っ私、どうしよう…こんなっ…」
みどりが落ち着きを無くしたのに、淳は慌てた。
みどりは、後悔していた。
こんなにも自分を想っていてくれている淳を一瞬でも恨み、怒りを覚え、疑い、離婚届に判を押してしまったことを。
みどりは、喜んでいた。
淳が自分を想っていてくれていること、わざわざ妹と一緒に自分の為にプレゼントを買いに行ってくれたこと。
その両方がみどりの心の中を占領し、溢れでた愛しさが涙となって頬を伝ったのだった。
「私っ…離婚届っ…っ…」
その言葉に、淳は離婚届を掴んで瞬時に破り捨てた。
「大丈夫。何もない。お前は何も、悪いことはしていない。」
淳はそう言い、みどりを強く抱きしめた。
みどりは何も言わず、淳の背に腕を回して泣き続けた。
タイムリミットまで
あと 4時間28分