「開けてみろ。」
みどりは何も言わずにその箱を受け取り、綺麗な紐を解いた。
箱を開けると、また箱が。
中の箱を取り出し、また開けると、中には小さなダイヤとパールが付いた指輪が入っていた。
「これ…」
「みどり、いつも結婚指輪以外のアクセサリーつけないだろ?婚約指輪はしまってあるみたいだし。似合うと思うんだけど…?」
いつもの雰囲気と違うみどりが気になり、淳はみどりの顔を見た。
みどりは泣いていた。
嗚咽も漏らさず、流れる涙も拭わずに、静かに涙を流していた。
淳は初めて見るみどりの泣き顔と、その美しさに息を呑み、無言でただ見つめていた。
「…私、上手く気持ちを言葉や行動や表情に表せれないの。」
みどりの掠れもしない、綺麗な声でポツリと言った言葉に淳は耳を傾けた。