みどりは、今まで1度も淳に「好き」とか「愛してる」といった愛の言葉を伝えたことが無かった。


淳はその言葉をねだることも無ければ、なぜ言わないのかと訊くことも無かった。


みどりも、そんな言葉で自分の淳への想いを表したくは無くて、言わなかった。

みどりは心から、淳を愛していたからだ。


しかし、今日、一生愛していこうと決めた最愛の夫に、裏切られたのだ。

みどりは、表には出さないものの、相当なショックを受け、同時に自分を責めた。


自分が居るから、淳は想い想われる相手と幸せになれない。
自分は淳を幸せにはしてあげられなかった…と…。


そしてみどりは、淳を自分から解放する為に、離婚届に判を押した。
世界で1番愛する人の為に。



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