みどりは賃貸マンションのリビングで、自分の荷物をまとめて淳の帰りを待っていた。
離婚届に判を押して…。
ガチャリと玄関が開く音が聞こえて、ふと時計を見ると、12月23日(土)17:00と表示されていたのを見てみどりはため息を吐いた。
「あぁ、何だ、居たのか。やけに静かで暗いから、驚いたよ。」
明るい茶髪の長い髪を後ろで束ね、性格を表すような服装をした淳がリビングに入って来た。
みどりは淳を見ずに話し始めた。
「私、ここを出ていくわ。荷物、少ないからまとめるのも楽だったし…。あとこれ、離婚届だから。」
みどりの指先には離婚届があり、淳は目を見開き静かに驚いていた。
「……理由を訊いていいか?」
冷静を装っている淳は、みどりの正面の椅子に座り、みどりの瞳を見た。
「……あなたにとっても、私にとっても…それが1番良いと思ったからよ。」
淳の視線から逃げるように、みどりは目を伏せた。