「「日向っ!!」」
入って来たのは、お父さんとお母さんだった。

3年ぶりに会う2人はどこも変わってなくて、安心した。

軽く微笑んで、手を振ると、頬に衝撃を感じた。

パンッ

お父さんに、平手打ちをされた音が、病室に響いた。
私は呆然と、左頬に手を添えてお父さんを見上げた。

「3年分だ。安いものだぞ。」
眉間にシワを寄せ目元を赤くして、拳を震わせているお父さんの優しさが伝わってきた。
「本当よ!!バカ娘!!」
お母さんも、そう言いつつも私を抱き締めてくれた。
両親の優しさに、泣きそうになった。

「それで!?なんで手術なんか…急に突然…」

私が癌の事を言うと、両親は驚いた後、真剣な顔をしていた。


「大丈夫、大丈夫よ。あなただもの。大丈夫。」
「俺達の娘だろう。乗り越えられる。それに、俺達もいる。何の為の俺達だと思ってる?」

「そうそう」と頷いて私を抱き締めるお母さんを、私は抱き締め返した。


この2人が、どれだけ大切で、偉大で、私の事を大切にしていてくれたかがわかり、私の両親がこの人達で良かったと、心からそう思えた。