そして───、
今宵が一層カッターをもつ手に力を入れたとき、オレは今宵の右手を強く掴んだ。





「?!……亜流?」




驚いた顔をする今宵にオレは、息がしづらい中言葉を吐き出す。





「……やめろ、今宵…
死のうと…するな……」


今宵の息を飲む音が聞こえる。



「死んだら、何もかも……おわりだ…」



「………自殺したら、今までの思い出は全部、きえて…しまう……」



「っ」



「………お、前は…オレとの思い出を……なかった、ことにするのか?」



「っっ」




今宵の顔に、戸惑いが浮かぶ。