12月24日、クリスマス・イヴ。



「香奈、今日暇?」


「ばか、暇なわけないでしょ」


部活帰り、親友の香奈に聞いてみたが、即答。


「今日はイヴだよ?彼氏といちゃつく日だよ?」


どうやら香奈の脳内では、クリスマス・イヴ=彼氏といちゃつく日、らしい。


あたしにはイヤミにしか聞こえない。


「もー、なんでイヴなのに部活があるの?本当なら今日は一日中裕也とイチャイチャするつもりだったのにー!!」


隣で香奈が嘆いてる。


彼氏彼女がいる人にとっては、イヴに部活、というのは最悪な状況なんだろうか。


彼氏のいたことがないあたしにとっては、イヴを一人寂しく過ごすよりは良かったりする。


「あっ、もうこんな時間じゃん!裕也来るから先行くね!」


「うん、バイバーイ」


走っていく彼女の顔は、今さっき嘆いていたときの顔とは打って変わり、幸せそのもの。


あたしは一人、寒いなか家へと急いだ。