「嫌がってんだろ。
男が女困らせてんじゃねぇよ…」
そう言って私の隣の席に着いた彼は、ダルそうに椅子に腰かける。
うはー…。台詞から何までカッコいい人だなあ…。
イケメンさんだねー…。
そんなことを呑気に考えていると、先生が慌てたようにこっちに歩いてきて、彼に話しかけた。
「…もしかして、荒崎か?」
「そーっすけど」
「全く!遅れるなら電話位寄越せ!
まあ、今日は初日だし…しょうがないから今回は多目に見てやるが…」
「すいません」
「それにしても…なんで遅れた?」
「えーと…実は、起きたのが30分前だったりします」
「はあ…ったく、次は気を付けろよ」
「うぃーす」
先生はそのままブツブツ言って教卓の前に戻った。
荒崎くん?は、それを軽く見るといきなり私に話しかけてきた。
「…なぁ、今なんの時間?」
「えっと、今は班別で自己紹介をするの」
「は?高校でもそんなのやんの?」
「あははー…
まあ、そこは突っ込んじゃ駄目だよね」
「なんだよソレ…ははっ」
私には何処が面白かったかは分からないけど、荒崎くんが笑ってるからいっか。
「…話が脱線してるけど、戻していいのか?」
「ちょ…風牙クン。俺への心配は無し?……っ痛てぇ」
喋りながら頭を擦る守口くん…。うー…荒崎くんの殴りがどれだけ痛かったのか分かった。容赦ないなあ荒崎くん…。
うん、これから荒崎くんは怒らせないようにしよう。