「――これで、校長先生の話を終わります」


そうアナウンスが聞こえて、あたしと花音が顔を見合わせる。
喋らなくても相手の言いたい事は分かる。

『やっと終わったハゲの話!!』

…だ。
花音も分かったのか軽く噴いていた。


じゃあ、やっと入学式終わり!?
と、思ったら…またアナウンスの声が聞こえた。


「――では、最後に新入生代表…東堂 風牙(トウドウ フウガ)君、お願いします」

「え、風牙!?」


思わず声をあげてしまったあたしに周りの生徒が一斉に此方を向く。
あたしは今、入学式だという事を思いだし急に恥ずかしくなって下に俯く。

それでも新入生代表と呼ばれた"アイツ"が同姓同名とかじゃなく、本人かどうかを確かめたくて恐る恐る前を向くと、"アイツ"は口パクで「バーカ」と言ってこっちを見ていた。

あー…もう!!
だから、"アイツ"と同じ高校なんか選ばなきゃ良かったのに…!!


花音が心配そうにあたしを見てるから安心させるように頭を撫でるけど…やっぱりさっきの事が恥ずかしくて、顔が赤くなる。


こんな恥かいたのはアンタのせいよ馬鹿"風牙"!!