「妖狗(ようく)・・・。」 言葉では形容しがたい優雅だが、どこかまだ幼さの残る声に呼ばれ、 背後へと振り返った。 「雅嬢。あなたを壊そうとするものはすべて僕が壊しましたよ」 口元を緩め、笑みを浮かべる。 長く黒いあでやかな髪に誰しもが恐怖を連想させるような真っ赤な瞳。 年の瀬に似合ない雰囲気をどこかしかともなく醸しだている妖艶な少女。 妖にとっては生涯の主でもある。