「どうもこうも見ての通りだよ。何もかもむちゃくちゃだ。みんな王に不満を抱いている。」
明に怒りを宿した目にマスターの心情が分かる。メリルは寂しい表情で黙ったままだ。
「レジスタンスみたいな組織を水面下で創って反乱しなかったのか?3年もの月日があったらできないわけないだろ?」
「確かに反乱はあったわ…この町じゃないけど1年前に反乱はあったのよ…だけど……失敗に終わって反乱に参加した人たちは全員、王に対する反逆の罪で極刑になり死んだわ…
そう…誰もがそれで終わったとみんな思ったのよ…
だけど終わらなかった。反乱に参加した人たちの家族をも殺したのよ!もう反乱を起こさせないためにね!」
「なんてことを…」
黙っていたメリルは少し青ざめながらも静かにしかし言葉を荒げ語る。そして、一つ涙を零す。 ルイは心に強い衝撃を受けた。レジスタンスのリーダー格だけ見せしめに磔公開処刑をするのが一般的なのに、残虐にも全ての人を殺すなんて許せない。
だけど、当時16歳の少女がそんなことをするだろうかとも思う。少し冷静になって全ての事柄を整理する。
ルイは頭の中の事柄を整理したことによって一つの結論に至。そして確信めいた声で問い掛ける。
「魔導師は地国から、いや、王都から去ったのか?」
「さあ?わからない。そんな噂を聞いたことがないのは確かだが…」
マスターはさっぱりといった感じで言う。
だが、ルイにはそれだけで十分だった。
ルイの頭の中では一つの結論に至っていた。
全ての元凶は魔導師にある。