マスターはむっとした表情をする。だがこの青年のおかげ助かったのも事実だけど、ヒヤヒヤしたのも事実。一様マスターはお礼を言うことにした。

「ありがとう。ミリア、片付けるぞ」

「うん」

 ミリアは青年の顔を見ていたのを名残惜しそうにして父に向け、先程までザキ達が居たテーブルに行き後片付けをする。
 暫らくして片付けが終わると、ミリアはカウンターに座っている青年の隣の椅子に腰掛ける。マスターは元の位置に戻りカウンターに座っている青年に話し掛けた。

「君の名前は何というのかな?」

「言ってなかったかな?ルイだよ」

「ルイくん……か」

 青年は改めて自己紹介した。ミリアは食い入るように見ている。それもそのはず。ルイは二重の目が少し釣り上がり、目は綺麗な翡翠色をしている。肌は白く透き通っていて、鼻は筋が通ってはっきりしている。目鼻立ちはくっきりしており、女の子に間違われそうなほど、美形なのだ。

「それよりさっきの質問答えてほしいな。あ、ありがと」

 マスターはコーヒーをルイの前に置き、ルイの質問に答える。

「ここは3年前まではここまで寂れてなかったんだよ。寂れる前は通りには人がたくさん居て、露天なんかもたくさんあったが……今では御覧の通りだ……」

 マスターの話を聞きながら、ルイは頭の中で事の整理をしていく。3年前か……その時に何かあったな。更に質問するルイ。
「3年前に何かなかった?王都でなにかあったとか、誰かが来たとか?」
 マスターは驚いた様にルイを見て、感心したように言った。

「ああ、ルイ君の言ったとおり3年前に一人の魔導師が王都に訪れたと噂がこの町まできたんだよ。そしてすぐに王が亡くなった……これは多分知ってると思うが……」

 ルイは自分の感が当たったことに心の中でほくそ笑んだ。