その言葉を聞いたザキに子分達は一斉にシーンと波紋が広がるくらい静かになり背筋が凍り付き、ゴクリと音が鳴り唾を飲んだ。
そして子分達は全員同じ事を思う。
あのガキは今までに無いくらいの殺され方をするだろうと……
 ザキは額に青筋が浮かび上がり、誰の目にも凄く怒っているのが一目瞭然だった。
 マスターは拭いていたコップを手から離してしまい、重力に引き寄せられるように地面に落ちていく。パリンッと静かな酒場に波紋のように響いていく。そんなことも気にならないくらい茫然と立ちすくすしかなかった。
 女性従業員も肩を抱き震えて足を後ろに動かし、一歩づつ後退していき躓いてこけてしまった。 いつ何が起こってもおかしくない中、更に挑発する肩近くまで伸ばしたサラサラの白銀色の髪をした青年。

「おい不細工。ショック受けたか? 何も言わないのは図星だからか? 不細工さん」

 挑発した白銀色の髪をした青年はクスクスとほくそ笑み静かな酒場に響く。ザキは顔が林檎のように真っ赤に成り頭に血が上っている。いつ怒りが爆発するか分からない状態が続いていた。
 子分達でも、もう手の付けられないとこまできてしまった。嵐が過ぎ去るのを待つかのように事が納まることを願うが、もう後の祭りだった。
 クスクスと静かな笑い声が響く中、ザキが言葉を発した。

「ガキィ! 最後に言っておきたい言葉ぐらいは聞いてやる!」

 ザキの声は怒気を含んで、外に響くくらいの大きな声で言う。
 ザキが喋ったことで笑うのを止め、最後に言っておきたい言葉と聞かれたので何があるかと模索して一つ良い言葉があることに気付き、それは物凄くこんな場面じゃなければ異性を魅了するほどの満面の笑みで言った。

「一回生まれ変わってこい不細工」

 ザキは我を忘れて椅子を倒し、挑発した人物に向かっていき殴り掛かった。
 挑発した人物とザキ以外は目を瞑り、次に開けたときの悲惨な光景を見ないようにした。だが、いっこうに何も起こらず、音がしないのに気付き恐る恐るだが目を開けた。そして全員が驚愕の表情で口をポカンとして見ていた。
そこには誰もが想像しなかった光景が広がっていた。
なんと……ザキが泡を吹いて、白銀色の髪をして涼しい顔の表情をした青年の傍に倒れていたからだった。