「禁忌とかそんなの関係ない!お前達こそもう追ってくるな!」


 周りより緑髪の濃い三十ぐらいの男性に睨み付けて言う。


「だまれ、もう力ずくでいく!」


 リーダーらしき人物がこちらに駆けてくる。
他の奴らもそれにならって駆けてきた。


「すまない…キュイ…ルイ…俺は追い付けられなくなった…一緒に入れて幸せだった…」


 瞳を閉じて、誰に聞こえるだけでもなく、呟き、瞳を開き走りだす。


「ブリザードフィールド」


 この言葉に呼応するかのように周りの景色が一気に変化し、吹雪とかした。







―――――――――――

 女性はふとさっきまで青年といた場所を振りかって、涙を流した。


「ごめんね、ルイ。ママもパパみたい残らないといけなくなっちゃった。でも、大丈夫だよね?ルイは男の子だもんね。ごめんね、こんなママとパパで…ルイが生まれて一時でも幸せだった…生まれてきてくれてありがとう」


 瞳から涙を流して、最後にルイと呼ばれた子供の頬にキスをしてから、顔を引き締めながら、言葉を紡ぐ。


「我願う、シルフの名において彼のものに加護と祝福を与えん、キュラクル・ウインド!」


 言葉を紡ぎ終え、ルイの周りに仄かに光を放ち、ルイが宙に徐々に浮かび上がると、途中で停止し、一際大きな光を放った。
 放った後にルイの姿は無くなっていた。


「ルイ…元気でね…」


 ルイの消えた場所に視線を漂わせ弱々しく言う。