青年達は、追っ手に徐々に追い付かれはじめていた。
 青年は苛立ちげに走りながら後ろを見、立ち止まる。

「先にいって! はやく! あとから行くから早く!……心配するな、大丈夫」

 青年が立ち止まったのを見て、女性は張り詰めた表情で声をかけようとしたけど、それより先に青年に言われた。心配そうに青年を見ていると、青年が気付いたのか、数秒の間を置いてから、大丈夫だと告げ、微笑んで女性の顔を見た。

「絶対にあとで会おうね! 約束だよ……?」

「ああ、あとで必ず行くからその子を頼んだよ」

「うん! じゃあ行くね……」

 短い会話を話したあと、女性は青年の後ろ姿を見て、すぐに国境へ向けて走りだした。

 女性が走り去った後、追っ手が追い付いてきた。

「おい! 雪人のおまえ! そこをどけ! 長老の娘さんとこそこそ逢って禁忌を破ったな! 俺たち違う種族が交わることがどれだけ駄目かわかっていなかったのか!?とにかくそこをどけ!」

 追っ手のリーダーらしき緑髪の濃い男が睨み付け声を荒げて言ってきた。