私がいるこの教室は三階にあって。

校庭にいる人の顔なんてほとんど見えはしないけど。


それでもちょっとした動きや仕草で彼だとわかってしまう私はもう末期だと思う。


でも、わかるに決まってるんだ。

だって、ずっと見てたんだから。


楽しそうにボールを追い掛けて走り回る先輩の姿を見ながら思い出すのは、初めて出会った日のこと。




(…もう一年半以上も前なのか…)




懐かしいような、昨日のことのような。

鮮明に残っている記憶。


あれは忘れもしない、入学してすぐの五月の出来事。