一瞬だった。

唇に、何か暖かいものが当たった。

それが一真君の唇だと分かったのは、一真君の顔が私の顔の近くにあったから。

分かった瞬間、すぐに離れようとした。

けど、一真君も男だ。

強くてびくともしない。

息が続かなくなって、私は、一真君の背中を思いっきり叩いた。

「はぁはぁ…。」

やっと一真君の唇が離れて息が出来た。

すると一真君は

「フッ…。」

と意地悪な笑みをうかべて

「これで劇の時、キス出来るだろ。」

と言った。

「もぉ!
やめて!」

やっぱり、一真君は意地悪だった。

でも、それが照れ隠しなんだと分かったのは、一真君の顔が赤くなっていたから…。

恥ずかしいならしなきゃいいじゃん!