「お・・・おもっ。」

このキャリーバックはおそらく、廉汰君のものだろう。

負けじとキャリーバックを引っ張るが、やはり動かない。

「ふんっ!」

勢いよく引っ張ると、足元がフラついた。

「わっ!」

「危ない!!!」

そうだ・・下はガケだったっけ。・・・。

そして、気が遠くなる瞬間に誰かの腕の力を感じた。

そのあと、強く抱きしめられる感覚がした。

そんな時、フっと意識が消えた。

ただ、この温もりだけを感じて。