未だ亜子に絡み付く香美は、確かに亜子とは釣り合わないかもしれない。見た目だけを見るならば。
そもそも誰と誰が仲がいいとか、誰と誰が付き合っているとか、そういう他人のことに多江は興味がない。興味があるのはただ一つ。


「ふーん? あたしは別にいいと思うけどな」

「えー? 絶対おかしいのにー」

「いいじゃない、気にする必要なんてないでしょ?」

「まあ…そうだけど…」

「それに、あたしに取っては中間試験の方が気になるから」


多江のその言葉に、千波も槙もハッとしたように多江を見た。


「それじゃあ、また多江は放課後遊ばなくなるってことー?」

「試験が終わるまではね。一年のときだってそうだったでしょ?」

「相変わらずテストには一生懸命ね…まだテスト週間にも入ってないのに」

「千波も槙も、ちゃんと勉強したらいい点がとれるのに勿体ないよ」


そう言うと二人は多江から視線を外した。正直、試験前に遊び呆ける二人には呆れるところがあるが、多江はそれを口にしたりはしなかった。


「でもでも、千波は今回少し頑張ろっかなーって思ってるのー」

「珍しい…親に叱られた?」

「ちーがーうー。こーみちゃんと競争するんだ」