「こーみ…?」


思わず多江が口に出した言葉に、千波がああ、と説明をし出す。


「あだ名だよあだ名。桜田香美ちゃんって言うんだけどー、香美って呼びにくいから〝こーみ〟って呼ばれてるみたい」


千波もこーみちゃんって呼んでるよ、と千波が付け加えると、多江は亜子と香美の様子を眺めながら、ふぅんと頷いた。


「多江はおかしいと思わない…?」

「何が?」


軽く槙に袖を引っ張られ、多江は槙に向き直った。多江の疑問に答えたのは槙ではなく千波だった。


「だってー、篠宮さんってスゴく地味でしょ? それなのになんでこーみちゃんみたいな子が一緒に居るんだろーって」

「そう…さっきまでそれを話してたの。おかしな二人組だねって…」


おかしな二人組――。
そう言われて多江はもう一度二人に目を向けた。