やっぱり断る香美に、少しだけ寂しさを覚えるも自分のことを考えてくれているのだと思うと、自分が折れるしかないのだと思った。


「分かった…じゃあ、テスト勉強頑張ってね」

「うん、亜子もね」


二人で笑いながら帰路に着く。

他愛ない会話をして、そんなやり取りが亜子に取っては楽しかった。
昔はもう少し明るい性格だった亜子。成長するにつれその明るさが減って行き、気付けば友達と呼べる友達は香美だけだった。
香美は亜子と違って明るい性格をしている。だから友達も多い。そんな香美だがいつも一緒に居るのは亜子だった。

それが少しだけ申し訳なくもあり、嬉しくもある。

出来るだけ亜子は香美の期待に応えたいと思うし、頼りにされたいと思う。こんな自分の側に居てくれるのは、多分香美だけなのだから。


肩を並べて歩く二人のその後ろ姿を、誰かがじっと見ていたことなんて気付かずに、二人は談笑していた。