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テスト週間に入るとほとんどの部活は休みになる。勿論、試験勉強をしてもらう為だ。当然、亜子や香美、多江は真っ直ぐ帰路に付くのだが、中には放課後にゲームセンターに寄ったり、店の前で屯(たむろ)したり、直ぐに帰宅する生徒は多くはない。
その場合、特に屯している場合だとその場を目撃した親や店から聖泉高校に連絡が来ることがある。そしてそれが自分のクラスの生徒だった場合、山口は厳しく注意をする。

たった今、仲山千洋(なかやまちひろ)と加賀見優一(かがみゆういち)がホームルームの時間を潰してクラスの前で説教を受けている最中だ。教卓の正面に立たされて既に二十分は経過している。
理由は勿論、テスト週間に入った放課後に、遊び呆けていたことが発覚したからだ。


「――じゃあ、昨日確かにお前らはゲームセンターでばか騒ぎしていたわけだな?」

「そうでーす」


千洋は茶色に染まった長めの髪を、人差し指と親指で絡ませながら答えた。空いた手はズボンのポケットに突っ込まれており、反省の色は一切見えない。