夢見た現場に立った私は、すぐに行き詰まる。
 
 専門の飛びぬけた知識、熟練の医師も唸るほどの技術。

 
 しかし、私はどうしようもない欠陥人間だった。


 人間関係の構築における瑕疵。

 私は、自分の世界で学んできたに過ぎない。

 専門の知識はすべて、楽しい一人遊びだった。

 技術の習得は、たまたま得意科目だというだけのことだった。



 同僚とチームが組めない。

 看護士と意思の疎通がはかれない。

 なによりも、患者にどのように対応していいのかわからなくなっていた。

 知識や技術の習得には、自分の感情を表現することは私にとって、必要のないことだったから。