「……………………」

「ん?どうした?」

「ううん。何でもないよ」

言っちゃダメだ。

今日はそんな事で喧嘩なんてしたくないから。

それがベッドの上に落ちていたとしても…

私が思っているような事は何一つなくて、ただ腰を掛けただけかもしれないのだから。

それにアレが私が想像している人物の物だとは限らない。

伸二の家はよく友達のたまり場になっている。その時に居合わせた“ただの友達”の女の子の物かもしれないの事だから…

「真奈…」
そう言いながら、優しく私の頬に触れてきた。

私は何も言わず…
いや、言えずじっと伸二を見つめた。

別にキスをせがんでいるわけではない。

だけど、伸二にはその姿が神経を刺激したらしい…



私達はキスをした――


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