伸二がどんな気持ちで私の事を
“好きな人”と表現したのかなんて分からない…


純粋な気持ちで言ったのかもしれない…

彼女を気遣って言えなかったのかもしれない…

色々考えるけど…
いいように考えるけど

どうしても
遊びだったんじゃないか
ただ、そういう関係なだけなんじゃないか…

なんて事が頭の中を占領し埋め尽くす…



温かいものが私の頬を伝った…

時計の秒針の音が余計に後押しし誘う

とめどなく流れ落ちる雫は流れても流れても止む事はなく

部屋には
押し殺した声と
鏡の前のくしゃくしゃな顔の私…


ひどいよ
こんな仕打ちってない。

打ち明けてどうするつもりだったの?

自分が
スッキリしたいだけ?

それとも、私に別れを切り出すつもりだったの?

彼女に気持ちがないのなら頼まれてもしてはいけない事じゃない?

優しいのは分かるけど、
時には必要のない
優しさだって在る。

突き放す事が相手の為になる事だって在る。



何より、今
“貴方の想い人”
は、苦しんでいます…


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