「加奈、次移動だよー」
「やば、ごめんっ先いってて!」

慌てて教科書を抱えて準備する加奈は高校で初めてできた友達。


癖っ毛で真ん丸の瞳。普通にしてれば可愛いのに、かなりの天然ちゃんっていうせいでクラスで浮いた存在だった。

私は割とクラスでは誰とでも話せたけど、なんとなく女の子特有の空気が苦手で気づけば加奈とばかり行動するようになっていた。


「初めが肝心」
というのは勉強でも人間関係でも言えることだけど。
恋愛においては特に最初のグループが付き合えるかどうかを分けるもんで。

こうして私は見事に恋愛とは程遠いポジションで高校生活をスタートさせた。


バタバタと私の後を追いかけてくる加奈。
「ごめ、ごめんねっ」
「んーん、行こっか」



恋愛なんて出来そうにないよね


そう、思っていた。