しかし情けない事に、俺はいま茶髪男に嫉妬し、慣れない酒を飲み、潰れて夢を見ている。


　目の前にいる遥は、その可愛い顔を歪ませ、泣き顔へと変わった。それに俺が手を伸ばすと、たちまち怒りの形相へと変わった。


　ぎょっとして手を引っ込めると、遥の顔はパーティの夜に会った時の、怒った結衣の顔へと変わり、次に結婚式で彼女の舌を俺が噛んだ時の驚いた顔になり、次は初夜の泣いた時の顔に変わった。


　その結衣の顔に手を伸ばそうとしたら、急に結衣は笑い出し、横から薄ら笑いを浮かべた茶髪男が現れ、結衣の肩を抱いて俺に背を向けた。


　待て！ 待ってくれ！


　そう言って手を伸ばしたら、結衣と茶髪男は揃って俺を振り向き、アカンベーをした。


クソッ！


　そう叫んで目を開けたら、目の前に驚いた顔をした結衣の顔があった。


　これはまだ、夢？