俺は安アパートで惰眠を貪っていた。昼近くなっていたが、俺は着替えもせず、布団の中でゴロゴロしていた。休みの日ぐらい、ゆっくりしてもいいだろうと思って。


　しかしそろそろ起き出し、遥をデートにでも誘うかな、と思っていたところに、来訪者を告げるブザーが鳴った。


　誰だろう……


　ドアの前で「どなたですか？」と聞くと、女性の声で「私です」との返事があった。


　俺はとっさに遥が来たのだと思った。遥は、このアパートに何度か来て、泊まって行った事もあったから。少し声が違う気がしたが、気のせいだろうと思った。


　俺は寝癖のついた頭を撫でつけながら、「来たのか？」とか言いながらドアを開けた。しかしそこにいたのは、遥ではなく結衣だった。