結衣は、真っ赤な顔で俺を睨んでいた。まるで痴漢でも見るような目で。


 そして、痛む頬を手で押さえ、呆然と立ちすくむ俺にクルッと背を向けると、足早にパーティ会場へ戻って行った。


 何なんだよ……

 胸に触っちまったのは悪かったけど、あれは不可抗力だろ?
 それなのに痴漢扱いして、思いっきり殴りやがって。礼も謝罪も一切なしかよ?

 いったい何様だよ? ああ、お嬢様か。

 しかし最悪だな、あの女。それが俺の結衣への、第一印象だった。