澄ました顔で俺の前を通り過ぎる結衣を、俺はうかつにも見とれてしまった。その艶やかなドレストと、香水の香と、美しすぎる横顔に。


 すると結衣は、たぶんヒールをレンガの溝に嵌めるかしたのだろう。俺の目の前でその体がガクッと揺れた。


 俺は素早く手を差し出し、結衣の体を抱き止めた。そうしなければ、結衣は間違いなくすっころんでいただろう。


 ハッとして、大きな目で俺を見つめる結衣。その綺麗すぎる顔と、甘ったるい香に、俺はボーっとして気付かなかった。俺の手が、結衣のバストをしっかり握っていた事に。


 俺が手に感じるムニュッとした感触のわけに気付くのと、顔に激しい衝撃を覚えたのは、ほぼ同時だった。


 俺は結衣に、思いっきり顔を叩かれていた。