この女、あの茶髪男が好きなんだろうか。あんなチャライ男の、どこがいいって言うんだ？ それとも俺の勘違いだろうか……


　いずれにしても茶髪男を知ってると見て、俺はその女に声を掛ける事にした。


「あの……、ちょっとすみません」


　すると女は俺を見て、瞬時に胡散臭そうな顔をし、１～２歩後ずさっていた。


　ああ、そうか。サングラスのせいで、俺は怪しい男に見えるんだな。

　そう思ってサングラスを外そうと手を掛けたが、目が涙で潤んでいる事を思い出し、外すのはやめた。そんな顔を女に見られたら、格好悪いから。


「ちょっとお聞きしたいのですが……」


　そう言ったのだが、「すみません。私、急いでますので」と言って女は逃げ出す体制を取っていた。


　俺は、何としてもこの女からあの茶髪男の正体を聞きだしたくて、女に近付こうとしたのだが……