俺は冷静に電磁調理機のスイッチを切り、換気扇を回し、フライパンをシンクに持って行って水をジャージャーとかけた。


 そのシンクも、酷いとっちらかりようだ。


 結衣の奴は、何をしてたんだ?

 まあ、何かの料理をしてたのは確かだろうが、何を作ろうとしていたのやら……


 フライパンにこびり着いた、真っ黒な物質を見ても想像がつかない。ハンバーグか餃子か、ひょっとしてお好み焼きか?


 結衣を振り向けば、半ベソをかいていた。出来もしない料理に挑戦するなんて、アホだろ?


 俺は飽きれてしまい、怒る気にもなれなかった。