「も、もちろん愛してますよ。結婚したんですから」


「本当ですか?」


「本当です」


 俺は一条海の目を見て答えた。視線を外すと、途端に嘘がバレそうだから。


「その言葉、一応は信じましょう。地位には興味がないようですからね。しかし昇進を断ったのはどうだったんですかね?」


「どういう事ですか? それを俺が受けたら、貴方方は、やっぱり俺が地位目当で結衣と結婚したと思うんでしょ?」


「確かに。しかし失礼ですが、貴方の安月給で結衣を幸せに出来ますか?」


 給料は自分でも安いと思っているが、他人から言われると腹が立つもので、


「余計なお世話です。家賃は社長が出してくれますから、生活に困るって事はないです」


 と言って俺は一条海を睨み付けた。