「何か目印はありますか? 俺達は互いに面識がないはずなんで……」


 と俺が言うと、


「それは大丈夫でしょう。陸は髪の毛が茶色で、日本人離れした顔をしています。とにかく目立つ奴ですから、すぐに分かりますよ」


 と一条海は言い、可笑しそうにクスっと笑った。そして俺が部屋を出る間際、


「ああ、それと、陸は私と違って気が短い男です。2~3発殴られるぐらいの覚悟は、しておいた方が良いでしょうね」


 と言い足した。気が短いのは俺だって同じなのだが、それは言わず、ニヤッと笑って部屋を後にした。