俺は一条海を睨み付けたが、彼もまた真っ直ぐに俺を睨んでいた。分からないなら、説明してやろうか……


 そう思ったが、やめた。どうせ過ぎた事だ。今更話しても意味がない。
 俺は一条海から視線を外した。そして、


「過ぎた話はやめます。離婚については、改めて社長へ挨拶に行きます。では……」


 そう言って立ち上がり掛けたのだが、


「座ってください。まだ話は終わっていません」


 と言われてしまった。渋々座り直すと、


「伯父はまだ、あなた方の離婚を知りません」


 と一条海は言った。